着物にとって「帯(おび)」とは、着物をしっかり止めておくだけのものではなく、後ろ姿を華やかに見せてくれる重要なものです。そして、着物と同じく、帯にも多くの種類があります。本記事では「どのような種類の帯を、どんな時に巻くのか」など、詳しくご紹介していきます。着物や帯に興味がある方はぜひ参考にしてみてください。
違いはサイズ、着用シーン
帯には多くの種類がありますが、帯のサイズによって着用シーンが異なります。
- 袋帯・・・長さ4m30cm前後、幅31.2cm前後
- 名古屋帯・・・長さ3m60cm前後、幅30.4cm前後
- 半幅帯・・・長さ3.6〜4m前後、幅17cm前後
このように、帯の仕立て方によって、多少長さの違いはありますが、おおよそ上記3種類に分けられます。他に細かな種類もありますが、一般的に使用されるのはこの3種類です。 「袋帯」は冠婚葬祭などの礼装時、「名古屋帯」はお茶会などの普段着、そして「半幅帯」は普段着や浴衣に使用されます。しかし、このサイズは決まっているわけではありません。おおよそで計り作られています。帯の長さは、着物・使うシーンによって、「このくらいの長さがあれば良さそう」という理由で作られているのです。「着物」や「帯」という、古き良き日本文化なのに、このような理由で帯の長さが決められていると知ると、より親しみやすく身近に感じることができるでしょう。
ここからは、それぞれの着用シーンや、どんな着物に合わせるべきなのかについて見ていきましょう。
袋帯とは ?
先述の通り帯を3種類に分けましたが、まず1つ目の「袋帯(ふくろおび)」について見ていきます。
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・サイズ
袋帯は、「長くて幅が広い」のが特徴です。このサイズは、結婚式やお祝い事などの華やかな席を、より一層きらびやかに飾れる「飾り結び」ができるようになっています。飾り結びは、その存在感から輝きを放ち、礼装にぴったりの帯と言えるでしょう。また、2枚の生地から作られており、リバーシブルになっていることがあります。着物の雰囲気や気分で、色合いを変えることができるのも特徴です。
・着用シーン
袋帯は、着物業界の中で「二重太鼓の帯」とも呼ばれています。それは、帯を結び終わった後に二重になっている様子から名付けられたとも考えられます。また、袋帯は、「金糸」や「銀糸」といった華やかな縫い糸が使用される場合が多いです。二重太鼓とは「お祝い事が重なって起こりますように」との意味もあり、お祝い事や結婚式の礼装の着物に合わせることが基本となります。おめでたい行事に合わせる「フォーマル用袋帯」と「振袖用袋帯」があります。「振袖用袋帯」は、柄も華やかで鮮やかに、丸みのある可愛らしい印象の帯になっています。
さらに、袋帯の柄ですが、「六通柄(ろくつうがら)」と呼ばれる柄が主に使われています。袋帯は一般的に「二重太鼓」で結ぶことが想定されているため、「手先部分と、端から胴回り1周分」だけに柄がつけられていることが多いのです。
・主に合わせる着物
- 留袖・・・既婚の女性が身につける着物の中で、最も格の高い礼装です。例えば、結婚式の際、両家の母親が着ている着物です。
- 振袖・・・未婚の女性が身につける着物の中で、最も格の高い礼装です。
- 訪問着・・・結婚の有無や年齢に関わらず、フォーマルシーンからカジュアルシーンまで様々な場合に対応できる着物です。
・サイズ
名古屋帯は、「短くて幅が広い」のが特徴です。普段着としての着物に合わせる帯なので、袋帯を簡略化したもので、簡単に結べるものが良いと作られたのが名古屋帯だと言われています。そのため礼装には不向きの帯です。
また名古屋帯の柄ですが、袋帯と同じく「全通柄」や「六通柄」があります。「全通柄」は帯全体に柄が施されているものです。前述の通り、帯のサイズはおおよそで作られています。ですから、自分の体のサイズに合っていない帯で結ぼうとすると「柄が真ん中に来ない…」など悩んでしまう人もいるかもしれません。柄の位置が上手く調節できない方は、自分の体のサイズを測ってみるのもいいでしょう。
・着用シーン
上にも記したように、名古屋帯は袋帯を簡単にしたものです。名古屋帯は、袋帯のように長さがなく短いため「二重太鼓結び」はできません。短い帯で簡単に「一重太鼓結び」を結べるところが特徴です。七五三、入学式、お茶会など、少しかしこまった場所に締めていくことが多く見られます。名古屋帯は、カジュアルなシーンから、セミフォーマルな場所まで幅広く使用できるので1枚持っておくだけでも実用性が高いですね。
・主に合わせる着物
- 江戸小紋(えどこもん)・・・色無地に近い着物で、柄が細かいため遠くから見ると無地に見えます。
- 付け下げ・・・着た時に柄が全て上を向く着物です。
半幅帯とは ?
・サイズ
半幅帯は、「長くて幅が狭い」のが特徴です。半幅帯は、基本的に普段着や浴衣に使用する場合が多いです。普段着に使用するには、帯の幅が狭く締めやすいとして半幅帯が使われています。また浴衣は「飾り結び」をすることが多く、長く幅が狭い半幅帯が好まれます。素材は浴衣に合わせて、麻・ポリエステル・絹など多種類の生地で作られています。季節問わずに使える半幅帯は、実は一番実用性がある帯なのです。そして、半幅帯は長くて幅が狭いので、「貝の口」「カルタ結び」「片蝶結び」など非常に多くの結び方ができます。結び方によっては小ぶりな仕上がりになるので、帯を結んだまま椅子に深く腰をかけることも可能です。
・着用シーン
普段着や浴衣に合わせる半幅帯は、長く幅も狭くできているため、華やかな「飾り結び」なども結べる帯です。夏祭りや花火大会などのイベントの浴衣に合わせてみてはいかがでしょうか。
さらに、半幅帯には「小袋帯」と「単衣帯」の2種類の帯があります。「小袋帯」は2枚の生地を合わせて作られているため、リバーシブルになっています。1枚持っておくと色合いを楽しむことができるでしょう。そして「単衣帯」は、1枚の生地で作られているので、非常に軽く厚みがありません。軽やかな柄の浴衣に合わせることをおすすめします。また、柄によってはセミフォーマルな場面でも使える半幅帯は、幅広く使用することができる万能な帯と言えるでしょう。
・主に合わせる着物
- 浴衣・・・近年では5〜10月頃に着られることが多くなっている着物です。麻などの吸湿性が高い生地で作られており、寝巻きとしてもおすすめです。
- 紬(つむぎ)・・・普段着として着られる紬は、正式な場所には着ていけません。同窓会や友人との食事会、お買い物などプライベートなお出かけ着として使用する着物です。
- 小紋・・・カジュアルなシーンに着ていく着物で、オシャレ着としても使用できます。
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本記事では、「帯の種類と着物の正しい組み合わせについて」ご紹介してきました。着物にも多くの種類がある中で、帯にもTPOを意識しなければならない決まりごとがあり、難しく感じてしまった方もいるかもしれません。しかし組み合わせ次第では、上品にアレンジをしたり、大人っぽさを出したりと帯でも楽しむことができるのが着物の魅力です。帯の結び方は、インターネットや動画で分かりやすく解説が載っていますので、初めての方でも綺麗に結べると思います。まずは、親しみがありチャレンジしやすい浴衣からはじめてみませんか?ぜひ、あなたも着物の良さを味わってみてくださいね。